正しい宗教と間違った宗教
「人類がいかに永いあいだ道を見失なってきたかご存知でしょうか。人類を先導すべき人たち、霊的指導者であるべき人たちみずからが盲目だったのです。玉石混交の信仰を持って事足れりとしてきました。宗教的体系をこしらえ、その上に教義とドグマで上部構造を築きました。儀式と祭礼を発明しました。教会(チャーチ)(キリスト 教)、寺院(テンプル)(仏教)、礼拝堂(シナゴーグ)(ユダヤ教)、モスク(イスラム教の礼拝堂)等々を建造しました。神とその子等との間に仕切りを設けたのです。それぞれに経典をこしらえ、わが宗教の経典こそ本物で宇宙の真理のすべてを包蔵していると主張し合いました。かんかんがくがく、宗教家としての第一の心掛けであるべき愛の心を忘れ、その上なお情けないことに、憎悪と敵意を持って論争を繰り返してきました 」
『シルバーバーチの霊訓(5)』P.71/1~8
シルバーバーチは、人類は長い間道を見失ってきたと言っています。本来私たちを先導すべき人たち、
霊的指導者であるべき人たちが霊的盲目・霊的無知だったからです。
地上の宗教の間違いをシルバーバーチは述べています。
シルバーバーチの語る“正しい宗教”(スピリチュアリズム)と地上の宗教を比較しながら、間違いに
ついてみていきます。
① 教義 ・・・・・ 信仰の基本となる教え (説く内容)
② 組織 ・・・・・ 宗教を拡大させるための集まり (集団)
③ 伝道 ・・・・・ 教え(真理)の普及 (どのように展開していくのか)
〔①教義 信仰の基本となる教え 〕
地上の宗教 スピリチュアリズム
・信じれば救われる(救い主は神) ・信じるだけでは救われない(救い主は自分)
神にすがって救ってもらおう、奇跡や特別な 霊的真理(摂理)に知識を得たら実践が重要で
計らいを願い期待しています。 努力と苦しみの甘受が必要です。
・罪の償いはさまざま(他力本願) ・自分の罪は自分で償う(自力救済)
キリスト教の贖罪説は、人間の罪(原罪説)を 因果律の働きは誰にも平等に働きます。
イエスが身代わりになって償ってくれたました。 「自分の蒔いたタネは自分で刈取る」この摂理から
仏教などでも、お経を唱えるだけで極楽浄土へ は、誰も逃げられません。
行けるなどがあります。
・信仰対象はさまざま ・信仰対象は神と神の摂理のみ
神の使いとされる動物や想像上の生き物、木や シルバーバーチは霊媒や霊界の使いを間違って崇拝
山(自然信仰)、イエスや釈迦など歴史上の人 していると言っています。※1
物、宗教の開祖や教祖など数多くあります。
・教祖がいる ・教祖はいない
教祖の教えが教義 霊からの教訓・教え・真理
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※1「こうした仕事を通じて私たちが皆さんにお教えしなければならない任務の一つは、私たち自
身は実に取るに足らぬ存在であることを認識していただくことです。どの霊もみな神の使者に
すぎないのです。…(中略)…指導霊ないしは支配霊としての資格を得るにいたった霊は、自
分自身が崇拝の対象とされることは間違いであるとの認識があるのです。崇拝の念は愛と叡智
と真理と知識と啓示と理解力の完全な権化であるところの宇宙の大霊、すなわち神へ向けられ
るべきなのです」 『シルバーバーチの霊訓(8)』P.19/LB2~P21/L5
「(ここでその日のゲストの二人がお礼の言葉を述べかけると、それを制して〝私への感謝は
無用です〟と言い、その理由をこう説明する───) 私が感謝をお断りするのは、私が非常にいけないと思っている傾向をたびたび見てきている
からです。いわゆる指導霊信仰というのがそれです。指導霊というのは崇拝の対象とされる
ことを望まないものなのです。唯一崇拝の対象とすべきものは宇宙の大霊すなわち神です。
無限なる霊であり、至高の創造主であり、光と愛と叡智と真理とインスピレーションの極致
です。本来はそれに向けられるべき崇拝の念を私の様なお門違いのところへ向けられては困
るというに過ぎません。
私は全知識の所有者ではありません。霊的進化の終点まで到達したわけではありません。
まだまだ辿らねばならない道が延々と続いております」
『シルバーバーチの霊訓(11)』P.18/L1~L7
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〔②組織 宗教を拡大させるための集まり 〕
地上の宗教 スピリチュアリズム
・組織は必要 (教えを広めるために) ・組織は不要
組織運営のために役職や信者間で上下関係が 霊的に高め合う人間関係は必要です。
生まれます。
・組織拡大のための勧誘 (組織へ帰依) ・一人ひとりが霊的真理を実践して変わる
信者の勧誘・獲得が組織維持のために重要 実践こそが神への忠誠です。
・宗教団体(組織)によって布教する ・巨大な組織で伝道しない
・組織が大きければ安心 ・小規模サークル
正しい判断基準がないため根拠のない安心や あくまでも霊性の維持向上やお互いの霊的成長が
信用を組織に求めています。 目的です。
・物質中心(組織・人間・建物・儀式) ・霊中心 (神・霊界)
大きな組織・大きな建物・仰々しい儀式祭礼を イエスを中心とするいくつもの高級霊団
霊的無知な人々は有難いと勘違いしています。
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〔③伝道 教え(真理)の普及 〕
地上の宗教 スピリチュアリズム
・目的…組織(信者)の拡大 ・目的…霊的実践者の拡大
組織をもたないので、組織拡大の必要はありませ
ん。摂理に沿った生き方をする人を増やすことが
目的です。
・主役…地上の人間 ・主役…霊界の人々
地上の人間は真理普及の補佐であり道具です。
・対象…誰でもよい (ただの人集め) ・対象…時期のきた人
悩みのある人、不幸な人、困っている人など 霊的準備の整った人しか普及できません。
・信仰の深さ、熱心さが伝道実績 評価になる ・信仰の深さ、熱心さが霊的実践のみ
伝道や普及活動、信者を増やすことが忠誠心の 実践こそが神への忠誠で、地上への神の顕現です
表れです。それが組織内での評価にもあります。 得た知識を実生活においてどう生かすかが大切
・教えを広めようと説得するような伝道 ・相手の霊的成長による自然な伝道
摂理から外れた不自然な伝道です。 摂理にかなった伝道です。※2
・急激に変心させる ・霊界が導く(時間をかけてじっくり確実に ※3
・理性で判断させない ・理性で判断させる
洗脳や集団改宗、または不幸や無知に付け込み 本人の霊性レベルに応じた理性で判断します。
恐怖心をあおり考えさせないようにします。 ※4
※2「私どもの仕事は必ず一個の人間から始めます。人類全体も個が集まって構成されているか
らです。一人また一人と非常にゆっくりとした根気のいる仕事ではありますが、それ以外に
方法がないのです。大勢の人を一度に変えようとしても必ず失敗します。暗示が解け、ふつ
うの感覚に戻った時、すべてが忘れ去られます。そうした一時の興奮から目覚めた者は気恥
ずかしささえ味わうものです。 ですから私どもは、あらゆる反抗と敵意と妨害の中にあっ
ても、点滴岩をも穿つの譬えで、一人また一人と光明が射し真理を悟ってくれることを信じ
て、素朴ながらも繰り返し繰り返し説いてまいります。」
『シルバーバーチの霊訓(3)』P.48/LB2~P.49/L6
「私の申し上げることがしっくりこないという方に押し付ける気持ちは毛頭ありません。私は
私の知り得たものを精いっぱい謙虚に、精一杯真摯に、精一杯敬虔な気持ちで披歴するだけ
です。私の全知識、私が獲得した全叡智を、受け入れてくださる方の足元において差し上げ
るだけです。これは受け取れませんとおっしゃれば、それはその方の責任であって、私の責
任ではありません」
『シルバーバーチの霊訓(7)』P.81/L1~L5
※3「無知と愚行は、実に永いあいだ地上世界に根を張っております。それを一夜のうちに取り除い
てしまう呪文(まじない)はありません。大自然は過激な革命ではなく一歩一歩の進化によっ
て営みを続けているのです。全ての生長・発展はゆっくりと、しかも冷厳な法則によって営ま
れています。子供の身体を無理やりに生長させようとすると必ず不自然なことが生じます。そ
れと同じで、霊的生長を性急に求めると失敗します」
『シルバーバーチの霊訓(9)』P.122/L1~L6
「威圧したり強制したりして仕事を進めるやり方は私たちは取りません。神から授かった理性の
光で導き、一歩一歩みずからの意志で踏み出すように仕向けます」
『シルバーバーチの霊訓(2)』P.135/LB4~LB2
※4「人生をどう生きるか───霊のことを第一に考えるか、それとも物質(モノ)を優先させるか、
それは本人の自由意志の選択にまかされております。そこに人間的問題の核心があるのです
が、援助を求めてやってきた人にあなたは、その選択に余計な口出しをせずに、必要な援助を
与えなければいけません。」
『シルバーバーチの霊訓(8)』P.40/8~LB5
「私が言ったからといって何もかも信じることはありません。私だって間違ったことを言ってい
るかもしれません。あなた方にとって成るほどと得心のいったことだけを受け入れてくだされ
ばいいのです。これは私がいつもお願いしていることです。 あなた方は私たちに手を貸し、
私たちはあなた方を援助するという形で、お互い協力し合いながら宇宙の真理を究めていくの
です。お互いがお互いから学ぶことが沢山あります。誰一人として間違いを犯さない者はいま
せんし、全能者ではないからです。私たちだってみな人間的存在です。永遠の道を旅する巡礼
者なのです」
『シルバーバーチの霊訓(7)』P.102/5~LB1
「神からの大切な贈りものであるご自分の理性を使って日常生活における考え、言葉、行為を規
制し、ご自分が気に食わないもの、ご自分の知性が侮蔑されるように思えるものを宗教観、哲
学観から取り除いていけばよいのです。私にはそれ以上のことは申し上げられません」
『シルバーバーチの霊訓(7)』P.206/6~9
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[正しい宗教]
①正しい宗教とは、「無償の奉仕・利他愛の実践」のことです。
大霊の子に奉仕することによって大霊に奉仕することになります。
(人間一人ひとりに神の分霊が宿っています。他人に奉仕するということは神の分霊に奉仕するという
ことです。)
「私どもが説く宗教とはお互いがお互いのために尽くし合う宗教です。人のために役立つことが霊の通貨
なのです。神の子である同胞のために自分を役立てるということは、取りも直さず神のために役立てる
ことであり、それを実行した人は立派に宗教的人間と言えます」
『シルバーバーチの霊訓(3)』P.50/LB1~P.51/2
「真の宗教には儀式も祭礼も、美しい歌唱も詠唱も、きらびやかな装飾も豪華な衣装も式服も不要です。
宗教とは自分を役立てることです。同胞の為に自分を役立てることによって神に奉仕することです。私
はこれまでそのことを何度申し上げてきたことでしょう」
『シルバーバーチの霊訓(5)』P.79/LB6~LB3
「人のために役立つことをすること(サービス)が最高の宗教です。サービスは霊の通貨です。崇高な通
貨です。すでに何度も申し上げてきたことですが、何度でも繰り返すだけの価値があるのです」
『シルバーバーチの新たなる啓示』P.64/LB5~LB2
②宗教の本質とは、「神の摂理に一致した生き方」です。
摂理に一致した生き方をすることによって霊的な成長ができ、それが真の救いとなっていきます。
宗教組織に属するとか、何かを信仰していると一時的な慰めや安心を得られるかもわかりませんが、
それは真の救いにはなりません。
利他愛の実践・苦しみの甘受・霊主肉従の努力によって、少しずつ霊的に成長していき霊的知識を手に
し、真の救いとは何かを理解できるようになります。
「これからも私たちは、人生のすべての基盤となっている永遠にして不変の霊的原理であると信じている
ものを皆さんに説き続けます。その霊的摂理に忠実に生きているかぎり、絶対に危害はこうむらないこ
とを断言します」
『シルバーバーチの霊訓(10)』P.89/1~3
③霊的成長を促すのは、「神の摂理」です。
それは、霊優位の摂理と利他性の摂理です。
物質的・地上的なものよりも霊的なものを優先することとは、霊的視点での物事を捉えることです。
地上人生だけでなく死後の永遠の時間を含めた上での物を捉えるということです。
そして、利他愛の実践です。無償の奉仕です。誰かの役に立つことをするそれだけです。
④摂理に一致した生き方・日常生活を送ること、それが「宗教」です。
摂理とは大自然の法則・ルールのことです。
「いかに鈍感な人間でも、真理を知ることが自分に対して幾つかの制約を課したことになることに気づく
ものです。人間の力ではどうしようもない摂理というものに従わねばならないということです」
『シルバーバーチの霊訓(9)』P.122/9~11
⑤特定の宗教を受け入れ従うことが宗教や信仰ではありません。
宗教の教義や教えを信じたり守ったからといって因果律から逃れることも死後の幸福も得られません。
神を間違った概念で捉えた教義や教えや祭礼儀式にいくらこだわることは信仰にはなりません。
「宗教家とか信心深い人は霊的に程度が高いという考えが、人間を永いあいだ迷わせてきたようです。実
際は必ずしもそうとは言えないのです。ある宗教の熱烈な信者になったからといって、それだけで霊的
に向上するわけはありません。大切なのは日常生活です。あなたの現在の人間性、それがすべてのカギ
です。祭壇の前にひれ伏し、神への忠誠を誓い、〝選ばれし者〟の一人になったと信じている人より
も、唯物論者や無神論者、合理主義者、不可知論者といった、宗教とは無縁の人の方がはるかに霊格が
高いというケースがいくらでもあるのです。問題は何を信じるかではなく、これまで何を為してきたか
です。そうでないと神の公正が根本から崩れます」
『シルバーバーチの霊訓(12)』P.209/LB7~P.210/1
「地上生活の総決算をする時がきたとき、つまり地上に別れを告げて霊の世界へと移られると、誰がする
というのでもなく、自家作用によって、自分で自分を裁くようになります。その時の判断の基準は地上
で何を考えたかでもなく、何を信じたかでもありません。世の中のためにどれだけ自分を役立てたかと
いうことです」
『シルバーバーチの霊訓(7)』P.87/8~11
⑥宗教の目的は、人間に「霊的成長」する生き方を促すことです。(摂理に一致した生き方)
本来の宗教の目的は、摂理を教えることで霊的成長につながる生き方を促すことです。
⑦信仰対象とは、「大霊(神)」と大霊の造った「摂理(決り・法則)」のことです。
地上の宗教は、神を信仰対象としてきましたが摂理の理解がなかったために摂理を信仰対象にしてきま
せんでした。しかし、摂理に沿った生き方こそが、真の幸福への道なのです。私たちを幸福にしてくれ
るのは摂理なのです。
「私たちはいかなる神学、いかなる教義、いかなる信仰告白文にも関心はありません。私たちが関心を持
つのは人間の霊性であり、私たちの説くこともすべて、絶対的に従わねばならないところの霊的自然法
則に向けられています。人間がこしらえたものを崇めるわけにはいきません。宇宙の大霊によって作ら
れたもののみを実在として信じます。そこに、宗教の捉え方の違いの核心があります」
『シルバーバーチのスピリチュアル・メッセージ』P.142/2~6
⑧宗教形式は一切不要です。
教祖・宗教組織・教義・祭礼儀式・礼拝施設などはいりません。
神は特別な場所に存在するのではありません。
「儀式という形式を超えたところに宗教の核心があり、それは他人のために自分を役立てることであるこ
とを知っていただこうと努力してまいりました」
『シルバーバーチの霊訓(9)』P.25/LB3~LB2
「大堂伽藍を建て、妙なる音楽を流し、ステンドグラスで飾り、厳かな儀式を催したからといって、それ
だけで宇宙を創造した大霊が心を動かされるものではありません。宇宙の大霊すなわち神を一個の建物
の中に閉じ込めることは出来ないのです」
『シルバーバーチの霊訓(3)』P.51/6~9
⑨霊界は正しい宗教が実現しています。(摂理に一致した生き方)
霊界では全員が利他愛実践という宗教的な生き方をしています。
霊界には共通の宗教一つしかありません。
「宇宙の大霊は無限なる愛であり、自己のために何も求めません。向上進化の梯子を登って行けば、己れ
のために何も求めず、何も要求せず、何も欲しがらぬ高級霊の世界に辿り着きます。ただ施すのみの世
界です」
『シルバーバーチの霊訓(1)』(潮文社) P.143/LB5~LB2
➉スピリチュアリズムこそが地上における唯一の正しい宗教です。
正しい神観を持つことは、正しい宗教・正しい信仰・正しい祈りに通じます。
神とは、創造主としての神・愛の神・究極理想の神・摂理の神などがありますが、中でも人間にとって
は摂理の神が一番重要です。摂理に一致した生き方とは正しい宗教・信仰であり、それが霊的成長と幸
福つながります。
摂理に一致した生き方とは、利他愛の実践と霊優位の努力です。これこそが正しい宗教的生き方です。