神観
私たち人間は〈神〉〈霊界〉〈地上界〉という重なり合った3つの世界に囲まれています。
私たち人間は、今どのような環境の中にいるのか
私たち人間は、今どのような立場にあるのか
それぞれ3つの世界を正しく理解し、どのような関わりがあるかを理解することで、私たち自分自身人間を理解することにつながります。
従来の宗教では、この3つ世界を正しく捉えることができなく人間との関わりや3つ世界の繋がりを説くことができませんでした。
それは、それぞれの宗教がそれぞれの神を説き共通の神観を持つことができなかった大きな原因です。
しかし、シルバーバーチによって3つの世界の理解と “真実の神のすがた”が明らかにされました。
では、シルバーバーチはどのような内容を説いたのでしょうか。
①神観
・人間にとって神の存在の本質とは何か
・神の真実の姿とは何か
・神と人間とはどのような関係なのか
②霊的世界観
・人間にとって霊界の存在の本質とは何か
・霊界の仕組みと、そこにいる霊的存在者について
・人間と霊界(の存在者)の関係とは
③地上世界観
・人間にとって地上世界の存在の本質とは何か
・地上の存在者とは何か
・人間と他の存在者との関係とは何か
・人間同士の関係について
・地上世界の問題と悲劇について
今回は、①神観をみていきます。
<従来の神観とシルバーバーチの説く神観の違い>
◆従来の地上世界の神観
(神についてのバラバラな考え方・見方があります)
・「神」は、人間にとって最大の宗教のテーマです。(「死」と並ぶ二大テーマ)
・神は、大半の宗教にとって崇拝・信仰の対象です。
一般的には宗教とは神への信仰とされます。
祈りは宗教的行為とされ、神に対しての願い事も祈りでした。祈りをすればするほど信心深いとさ
れてきました。
・神についてのさまざまな考え方や信仰があります。
自然神信仰(太陽や雷、山や岩や樹木、動物を神格化し、信仰と崇拝の対象します)
世界各地にある太陽神や 雷や風などの自然現象 木 山 動物
アニミズム信仰(原始的な精霊信仰のことです)
人物神信仰(歴史上の人物を神格化し、信仰と崇拝の対象としています)
・さまざまな神観(神の分類)
有神論と無神論
多神教と一神教(ビンズー教や仏教や神道などは多神教で、キリスト教やイスラム教は一神教です)
スピリチュアリズムは唯一神(大霊)を信仰の対象とする一神教です (霊界の宗教と同じ)
・これまで地球上には、共通の神観が存在しませんでした。
神の存在を信じていても、間違った神をイメージしていました。
すべての宗教と人類が真実の神の姿を知らなかった「神に対する霊的無知」の状態でした。
人類が想像する神は、地上世界だけの一方的な姿で人間の限られた知識でしか作られない偏った神像
でした。
「太古においては人間は環境についてほとんど知識がなく、自然現象についてはまったく理解していなかったために、何もかも神様の仕業にしておりました。その神様についても人間を大きくしたような存在としてしか想像できませんでした。そこに犠牲(生け贄)の思想の原点があります。雷が鳴り稲光がすると神様が怒っておられるのだと思い、その怒りを鎮めるためにいろんなお供えをするようになったのです。 そうした野蛮な小さい考えも次第に大きく成長し、人間は無知の暗闇から脱し、迷信の霧を突き抜け、知識の夜明けを迎えて、宇宙の根源はどうやら人間の想像を超えたものらしいということに気づきはじめました。しかし、だからといって古い概念がそう簡単に消えたわけではありません。何かすごく大きな人間の男性のような姿をした神様が宇宙をこしらえたのだという概念が、何十世紀もたった今もなお存在しています。 さて私たちはさらに一歩進めて、宇宙を創造しそして支配しているものは、男性神でもなく、女性神でもなく、とにかく形ある存在では無いと説いているのです。人間的な存在ではないのです。宇宙は法則によって支配されており、その法則は規模においても適用性においても無限なのです。それは無限の愛と叡智から生まれたものであり、したがって完璧であり、誤ったり失敗したりすることが絶対にないのです。…(中略)… 物質界に生きる人間は視覚と聴覚と触覚と嗅覚と味覚の五つの感覚でしか物事を判断することが出来ませんから、その五感を超えた生命の本質を理解することはまず無理なのです。 そうした限界の中で生きているかぎり、その限界の向う側にあるものが理解できるわけがありません。そこで次のような結論となります。すなわち宇宙は自然法則によって表現されていること、その法則の背後にある叡智は完全であること、しかし人間は不完全であるためにその完全さを理解することができないということです。人間が個体性を具えた限りある存在である以上、個体性のない無限の存在を理解することは出来ないのです。これはとても難しい問題ですが、少しでも理解の手助けになればと思って申し上げてみました。」
『シルバーバーチの霊訓』(7)P.142/LB2~P.144/9
◆霊界人の神観とシルバーバーチの神観
(シルバーバーチの神観とは、霊界の宗教の神観のことです)
・霊界人の神観とは唯一・共通の神観(すべての霊界人が共通の神観を信じています)
一方地上人の神観はバラバラでさまざまな神観が主張され対立も起きています。
・スピリチュアリズムの神観は霊界人と共通の神観
スピリチュアリズムには地上の全ての宗教をなくし霊界の宗教を地上に広める役割があります。
それは地上の宗教に“神観の革命”を引き起こすことになります。
霊界では摂理をすべての霊が理解し摂理に沿った行為を実践しています。
日常生活そのものが信仰になっています。
シルバーバーチの神観はスピリチュアリズムの神観の中で最高峰
スピリチュアリズムの神観を集大成したもので人類史上最高の神観(真実の神観)です。
(※地上の言語を用いた説明であるため、霊界でのような深い神認識を説くことはできませんが、
地上世界の限界内で最高レベルの神観を示しています)
霊界では神を実感しており神の存在を疑う霊はいません。(霊的目覚めの起きていない幽界は別)
無神論者も多神教徒も存在しません。
・シルバーバーチは唯一神である神を“大霊”と呼び、その唯一神の本質を、
「創造主」・「大霊」・「摂理」・「愛の始原」・「究極の理想目的」と明らかにしました。
↓
シルバーバーチの神観の5つの定義
①創造主としての神
②大霊としての神(遍在する神)
③摂理としての神 一番重要でありながら、どの宗教も説かなかった
④愛なる神
⑤究極の理想としての神
◆シルバーバーチの神観のポイント
<ポイント① 創造主としての神>
神は霊界と宇宙、そこに存在するすべての生命体・存在物を創造されました。
・神の創造による進化であり、「進化的創造論」と言えます。
すべての存在は神によって創造され、進化によって存在するようになったのではありません。
一見すると、生物は低次元から高次元に進化していったように映りますが、その変化はすべて神の
関与によってなされたものです。
神のイメージによって創られたもので、進化的な連続やつながりはありません。
一般的な「進化論」とは、物質的な偶然が重なり進化してさまざまな生物種が存在するようになった
という説ですが、それは間違いです。未だその連続を証明できる化石は発見されていません。
他に有力な説がないということが現実です。
・神による人間の創造
大霊である神からの分霊化によって、神から独立・個別化した人間が存在するようになりました。
それが「神による人間の創造プロセス」です。
・神は人間にとって“霊的親”です。
すべての人間は神によって創造されたということは、神は全人類にとって共通の霊的親になります。
すべての人間は同じ神の霊的子どもであり、霊的家族の一員でもあります。
・人間にとっての本体は “神の分霊(ミニチュアの神)”です。
一旦人間として地上に生まれると、その存在は決して消滅することはありません。
この本体(分霊)は永遠に存在し続け、神に近づく歩みをすることになります。
神の分霊が人間の本体であるため、人間は神と同じ霊的要素を持つことになり、その分霊は未熟な形
で出発し、霊的成長によって進化向上していきます。
それは内在する神性を徐々に発現させていくことです。
「大霊はあなたがたの内部に存在しています」 『シルバーバーチの教え』(上)P.89/3
「私たちは一人の例外もなく大霊の一部です」 『シルバーバーチの教え』(上)P.90/4
「あなた方は自らが大霊の一部であることを忘れてはいけません」
『シルバーバーチの教え』(上)P.91/5
「神は人間を霊的にご自分に似せて創造されたのです。生命は霊であり霊は生命です。霊的に似せて創造
された以上、あなたは永遠に神とつながっており、神性を共有しているのです。ということは必然的に
人間は霊的大家族の一員であることになります。同じ神性が宿っているからです。ですから人間は霊的
に神に似ているのであり、姿が似ているというのではありません。」
『シルバーバーチの霊訓』(11)P.109/LB1~P.110/4
<ポイント② 大霊としての神>
・神は無形で、あらゆる区別・形式・概念を超越して、全被造世界(霊界・宇宙)と全被造物(生命体・
存在物・人間)に遍在しています。
・霊界・宇宙をすべて包み込むような広がりを持った大きな心のような存在で大きな意識体です。
・神は万物の内側と外側に存在し、神から離れて存在しているものは何一つありません。
神の認識できないものはありません。
「大霊は全宇宙のすみずみまで行きわたっています。人間が知り得る極微ものであろうと、まだ物質界に
は明かされていないものであろうと、そのすべてに遍在しています。大霊は、あらゆる生命体に充満し
ています。あらゆるものに内在し、あらゆる法則の中に内在しています」
『シルバーバーチの教え』(上)P.76/7~11
「人間が『神』と呼んでいるのは、宇宙の自然法則のことです。大霊(神)は万物に内在しています。
そべての存在物が大霊であると言えるのです。魂はそれ自身の事を知っていますから、大霊は魂を知っ
ていることになります」
『シルバーバーチの教え』(上)P.77/5~7
「大霊は人間が考えるような意味での人物的存在ではありません。人間を大きく拡大したような存在では
ありません。男性でもなく女性でもありません。 大霊は宇宙最高の力、無限の知性、愛、慈悲、叡智、
要するにありとあらゆる霊的資質の原理の総合的化身です。が、その概念をお伝えしようとすれば、どう
しても人間の言語を使用せざるを得ません。」
『シルバーバーチの霊訓』(11)P.88/LB3~P.89/3
問「すべてが神がふところの中で行われている、という言い方は正しいでしょうか。」 答「結構です。神はあらゆる場所に存在します。神のいない場所というものは存在しません。」
『シルバーバーチの霊訓』(11)P.91/5~6
「神はすべての生命の中に宿っています。その生命が人間という形で個別性をもつことによって、神は森
羅万象を支配する法則としてだけでなく、個性をもつ存在として顕現したことになります。 ですから、神を一個の存在としてではなく、無限の知性と叡智と真理を具えた実在そのもの、人間に想像
しうるかぎりの神性の総合的統一体と考えて下さい。それは男性でもなく女性でもなく、しかも男性でも
あり女性でもあり、個性というものを超越しながら同時にあらゆる個性の中に内在しているものです。
神は万物の内側にも外側にも存在しています。神から離れては誰一人存在出来ません。神から切り離され
るということがありえないのです。あなたの中にも存在しますし、雨にも太陽にも花にも野菜にも動物に
も、その他いかに小さいものでも、存在を有するかぎりはすべてのものに宿っているのです。 私が大霊
と呼んでいるこの神の概念を伝えるのは至難のわざです。あらゆるものを支配し、あらゆるものから離れ
ず、存在するものすべてに内在している崇高な力です。」
『シルバーバーチの霊訓』(11)P.108/4~P.109/1
<ポイント③ 愛の始原としての神>(愛なる神・究極の愛としての神)
・イエスによって人類史上はじめて神が愛の存在であることが明らかにされました。
→画期的な神観が明らかにされ<神観の革命>が起こりました。
「恐れの神」えこひいきする神・罰を与える神から「親なる愛の神」へ変わりました。
・神は人間にとって“霊的親”であり、その関係は“愛”が絆となっています。
“愛”は、神と人間を結ぶ霊的絆です。 神と人間は摂理を通しての間接的関係ですが、唯一愛にお
いてのみ、神と人間は直接的関係です。
・神は被造世界と補造物を支配・維持するために“摂理”を創造されました。
→摂理の背後に常に神の愛が控えていてます。
神はすべての生命体・存在物を愛から創造されたため宇宙には神の愛が充満していて、
冷たい機械的な摂理の支配の背後に、「温かい神の愛」が存在しています。
・神の愛が神と人間、また人間同士を結びつける霊的絆となっています。
神の愛が神を中心とする霊的一大家族を形成しています。
(神は霊的親であり、人間同士は国籍や人種に関係なく霊的兄弟姉妹です。)
スピリチュアリズムの最終目的は、神の愛を地上に広め地上を霊的同胞世界にすることです。
「宇宙に存在を与えたのは神の愛です。宇宙が存在し続けるのも神の愛があればこそです。全宇宙を経綸
し全存在を支配しているのも神の愛です。その愛の波長に触れた者が自分の愛する者だけでなく血縁によ
って結ばれていない赤の他人へも手を差しのべんとする同胞愛に燃えます。愛は自分より不幸な者へ向け
て自然に手を差しのべさせるものです。全生命の極致であり、全生命の基本であり、全生命の根源である
ところの愛は、よりいっそうの表現を求めて人間の一人ひとりを通して地上に流れ込みます。そして、い
つの日か、全宇宙が神の愛によって温かく包まれることになるでしょう。」
『シルバーバーチの霊訓』(1)P.142/5~LB4
<ポイント④ 摂理 摂理(法則)としての神>
・神は“摂理”を設け、それを通して被造世界(地上を含む宇宙・霊界)と被造物(存在物)を創造し、
支配し維持・運行するようにしました。
それは、皆が平等に幸せになるようにとの神の願いからです。
・神の摂理の完璧性は神の完全性・絶対性・全知全能性を示しています。
摂理の完璧性は神の全知全能性の表現です。
摂理の働きの中に、神の姿を間接的に見ることができます。
・“摂理の神”は、シルバーバーチの神観の最大の特色です。
シルバーバーチが人類史上初めて明らかにした画期的な神観で、従来の宗教における信仰を根底から覆
すことになりました。
・摂理の支配によって、神は被造世界と被造物の全てを知り、完全に把握しています。
・摂理の支配のため、神と無縁の人間は存在しない(誰一人忘れられていない)孤独な人間はいません。
・摂理の支配のため、神は人間と全生命体を完全平等・完全公平に扱っています。
特別や例外の扱いはありません。
「大霊がすべてを知り尽しているのも、法則だからこそです。法則だからこそ何一つ見落すことがないの
です。法則だからこそ人生のあらゆる側面がこの大宇宙にあってその存在場所を得ているのです。人生の
全側面が、いかに些細(ささい)なことでも、いかに大きな問題でも、けっして見逃されることがありま
せん。すべてが法則によって経綸されているからです。法則なくして何ものも存在し得ません。法則は絶
対です。人間の自由意志が混乱を惹き起こし、その法則の働きを見きわめにくくすることはあっても、法
則そのものは厳然と存在し、機能しております。わたしは、神学はこれまで人類にとって大きな呪いであ
ったと信じます。しかし、その呪われた時代は事実上過ぎ去りました」
『霊的新時代の到来』P.77/LB4~P.78/4
「物的世界は、他のすべての世界と同じく、絶対不変の摂理によって支配されております。その摂理は無
限の過去から存在していましたし、これからも無窮の未来まで存在し続けます。予期しなかった事情が生
じて改めざるを得なくなることはありません。これまでの摂理では間に合わない新たな事態が生じるとい
うことも絶対にありません。その作用は完ぺきであり、停止することも、無効になることもありません。
無限の知性によって考案されたものだからです。 生命の存在するところには必ず摂理が働いております。原因には必ず結果が生じます。タネ蒔きには刈
り取りが付随します。その因果関係に干渉して、生じるべき結果を変えてしまうような力をもつ存在はあ
りません。地上世界のどこで何が起きようと、それも摂理のもとに生じています。突発事故も偶然の出来
事もありません。大自然の摂理はありとあらゆるものを包摂しております。こうした事実は、その背後に
崇高なる知性が存在してそれが摂理を生み出し、万物の全側面と全活動を維持・管理していることの証で
はないでしょうか。」
『シルバーバーチの霊訓』(11)P.89/5~P.90/1
「今あなたは神を大自然の法則と同一視しているとおっしゃいました。しかし神は大自然の法則よりもっ
と大きい存在です。なぜなら、その法則を支配しているのが神だからです。神とはその自然法則と同時に
それが作動する仕組みをもこしらえた無限なる知性です。」
『シルバーバーチの霊訓』(11)P.107/LB5~LB3
<ポイント⑤ 究極理想・目標としての神>
・人間は永遠の霊的成長の道を歩みます。それは終わりのない神への接近のプロセスです。
・神は人間にとって、永遠に目指す究極の目標であり理想です。
「霊性が開発されていくにつれて少しずつ大霊に近づき、摂理と調和していくようになることを悟って
いただきたいのです」
『シルバーバーチの教え』(上)P.95/10~11
「人間は神の完全性の要素をミクロの状態で内臓しております。人間はそれを発現させ完成させなくては
ならないのです。それは無限の時間を要する過程です」
『シルバーバーチの霊訓』(11)P.109/4~6
「霊性を開発するにつれて宇宙最大の霊すなわち神に近づき、その心と一体となっていくことを知ってい
ただきたい」
『霊的新時代の到来』P.66/8~9
「神、わたしのいう大霊は完全です。ですが、それは大霊が完全な形で顕現されているという意味ではあ
りません。大霊そのものは完全です。つまり、あなたの内部に種子(たね)として存在する神性は完全性
をそなえているということです。ですが、これは必ずしも物質的形態を通して完全な形で表現されてはい
ません。だからこそ無限の時間をかけて絶え間ない進化の過程をへなければならないのです」
『霊的新時代の到来』P.108/7~LB3
「解答が得られずにいる問題で重大なものと言えるものはありません。ただ、わたしはよく、進化は永遠
に続く――どこまで行ってもこれでおしまいということはない、と申し上げておりますが、なぜそういう
おしまいのない計画を大霊がお立てになったのか、そこのところがわかりません。いろいろとわたしなり
に考え、また助言も得ておりますが、正直いって、これまでに得たかぎりの解答には得心がいかずにおり
ます」
『霊的新時代の到来』P.122/1~5