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幸福観

『シルバーバーチの霊訓』の画期的な幸福論 

人間は誰もが幸福を求め、幸福になるために毎日を過ごしています。

幸福な人生と不幸な人生を選択できたとしたら、自ら不幸な人生の道を選ぶ人はいません。私たちにとって《幸福・不幸》の問題は、生きることの重要なテーマとなっています。

 幸福とは何かと考えた時、答えは人それぞれですが、ほとんどの人にとって“喜び”や“満足感”を味わうことが幸福だと点は共通しています。夢や願望が叶うと心は喜びに満たされ満足感を得ます。しかし、この幸福感は多くの場合一時的なもので長くはつづきません。

 では、持続する幸福感はあるのでしょうか。あるとすればその幸福とは何なのでしょうか。多くの人が望む物質的な喜びや満足観や肉体的な快楽は本当の幸福なのでしょうか。

その答えをシルバーバーチの教えの中から探します。

まず初めに一般的な幸福観(多くの人が思う幸福)をみて、次にスピリチュアリズムの示す幸福観、最後にシルバーバーチの説く幸福観をみていきます。

<一般的な幸福観>

⑴ 物質的な満足や肉体的な快楽を得ることが幸福

 欲しい物を手に入れるや娯楽を心ゆくまで楽しむことは、その瞬間は満足感を得ることができ幸福な気持ちになります。その幸せを持続させるには物やお金が必要だと思うようになります。

また、周囲と比べ足りない分が不幸の度合いとも思います。物やお金をたくさん手にすることが幸福への道だと思っています。これは「物質的幸福観」で、地上生活だけの喜びと満足を求めることになっています。物質的な欲望が満たされることで得られる幸福は一時的なもので、その感動はすぐに消え失せてしまいます。そのため人々は次々と新たな欲望を抱き刺激を求めるようになっていきます。

⑵ 自分の夢や希望を叶えることが幸福

夢や希望を持つことは生きる上で大きな原動力となり大切なことです。しかし、それが自分や身内だけの幸せのためや、誰かの犠牲の上に成り立つものなら、それは利己主義となってしまします。

地上世界には、受験戦争や自国の利益拡大のための領土戦争などさまざまな競争・戦争が存在します。利己主義とは無関係に思える文化やスポーツにおける賞レースなども、突き詰めると自己の利益のため(名声名誉欲)であり他者のためのものはありません。当たり前に行われているものの中にも利己主義が潜んでいます。

こうした「物質的幸福」「利己的幸福」を求める生き方は、摂理に反した生き方で霊的成長をするどころか反対に霊的成長を阻害する生き方になっています。摂理に反した結果、その償いとしての苦しみを生むことになります。それは一時的な喜びや幸福が去ったあとの寂しさや空虚感や孤独感を味わうようになります。なぜなら、この幸福観には愛がないからです。こうしたことから、多くの人間が追い求めている幸福は本当の幸福ではありません。それは錯覚であり、霊的視点からみれば《不幸》なことなのです。また、こういった幸福観が蔓延している地上では自分を不幸と思っている人が大勢います。その中には不満を募らせ自暴自棄に陥っている人もいれば、絶望感にとらわれている人、幸福になりたいと必死にもがいても自分の望むものが手に入れられなくて他人の幸福を妬み苦しんでいる人もいます。こういった背景から犯罪が生まれています。

同じ夢や希望でも、それが利他愛から発せられた恵まれない人たちのためのものであったり、地上全体の幸せにつながるものであれば、大きな幸福を得ることができます。

<スピリチュアリズムの幸福観>

⑴ 地上人が考えているような幸福(物質的喜び・肉体的快楽)は真の幸福ではない

多くの地上人は物質的喜び・肉体的快楽を得ることが幸福だと思い込んでいますが、それは錯覚に過ぎません。それは、地上だけがすべてと思う狭い物質的視点から見た幸福観でしかなく、永遠の霊界での生活を含めた霊的視点で見れば何の価値もないことがわかります。地上人生においてどんなに苦しみが多くても、それは地上という一時的な世界だけのことであり、永遠の霊界にまで苦しみが続くことはありません。今は苦難が絶えない人生を歩んでいる人であっても、死後には必ず喜びと希望が待っています。一方この世で金銭的に裕福で恵まれた人生を送った人は、霊界で苦しみが待っています。「地上で幸福だった者はあの世で不幸になり、地上で不幸だった者はあの世で幸福になる」とスピリチュアリズムでは説いています。

⑵ 地上世界では真の幸福感を味わうことはできない。本当の喜び・霊的歓喜は霊界へ行って初めて実感することができるようになる。

地上世界は苦難の体験を通し霊的成長する場として創られているから真の幸福感を味わえないということです。霊界では全員が“魂の喜び・霊的歓喜”を実感しています。それはすべての霊界人が「霊的知識」を基にした生活をし、霊的視点で物事を捉えることができるからです。

⑶ 物質的価値観・物質的幸福観から解き放たれることが、地上人にとって真の幸福に至る道である

人間は地上・物質世界にあっても物質的価値観に染まらず、霊中心の生き方をしてこそ《真の幸福》を手にすることができます。多くのモノやお金があるからといって本当の幸福は得られません。物質的に恵まれることは、むしろ不幸になる可能性を大きくします。スピリチュアリズムは、最低限のモノやお金で満足し、他者への奉仕に意識を向けることが《真の幸福・魂の幸福》に至る道だと言っています。

<シルバーバーチの幸福観>

⑴ 幸福と霊的成長は一体不可分の関係にあり、霊的成長こそが幸福の本質である

シルバーバーチは人間の《幸福・不幸》を神の摂理である「霊的成長」の観点から定義しています。人間が神によって定められた霊的成長の道を歩んでいるとき、魂は摂理に一致した喜びに満たされています。《真の幸福・喜び》とは、霊的成長をしているときの魂の反応のことなのです。霊的成長の道を歩んでいると感じられたとき、魂は“神の愛”に触れ霊的喜びに満たされるのです。この喜びこそが、最大の幸福なのです。

「心の平和は一つしかありません。神と一体となった者にのみ訪れる平和、神の御心と一つになり、神の大いなる意志と一つになった人に訪れる平和、魂も精神も心も神と一体となった者にのみ訪れる平和です。そうなった時の安らぎこそ真の平和です。神の摂理と調和するからです。それ以外に平和はありまぜん。」

(シルバーバーチの霊訓[4] P20/8~11)

⑵ 人生における苦難は不幸ではない。むしろありがたいもの

 多くの人は苦しみや困難があることが不幸だと思い、苦しみや困難を避けようとし、それを取り除かなければ幸福になれないと思っています。苦しみや困難が続くと「自分はなんて運がなく不幸な人間なんだろう」と嘆きます。そして藁をもつかむ思いで神仏に助けてほしいと祈ります。

しかし、シルバーバーチは「苦難や困難は不幸でも不運でもなく霊的成長にとってむしろ良いものでありがたいものである」と言っています。神の創られた摂理の中に〈永遠の霊的成長の法則〉と〈カルマの法則〉があります。私たちは地上人であれ霊界人であれ永遠に霊的成長するようになっています。苦難を乗り越え成長するごとに感じる幸福感も増していきます。そしてカルマは、摂理から外れた行為の結果の苦しみとして発生します。カルマがある間は霊的成長が止まっています。きちんとカルマを解消することで、また霊的成長の道を歩むことができるようになるのです。だから、カルマの解消のための苦しみも実はありがたいものなのです。このカルマの法則があるから取り返しのつかないことはなにもないということです。大切なことは、苦しみを霊的視点にたって捉え甘受するということです。それが、苦難の正しい受け止め方です。

「地上人生のあらゆる体験は、大きな計画の中の一つです。落胆、挫折、悲しみ、痛み…これらは人間的心情からすれば、あってほしくないものかもしれませんが、魂の進化にとっては、とても貴重な体験なのです。」

(シルバーバーチの教え[上] P160/9~11)

「時にはあなた方人間にとって大変な不幸に思えることが霊的には大変な利益をもたらすことがあるのです。」

(シルバーバーチの霊訓[8] P18/L1~P19/1)

⑶ 地上人にとって真の幸福に至る道とは《霊主肉従》の生き方

 私たちは地上という物質世界で生きるための道具として、肉体をまとっています。そしてこの肉体を使って自我を表現しています。物質世界で生きるには便利なものですが、肉体を持つがゆえの本能を同時に発生しています。自己を守る最低限の欲求以上に人間は過剰に物質に執着し「物質的価値観」に縛られています。シルバーバーチは霊的なことに意識を向けないのと同じように肉体の維持管理を怠ることもいけないことと言っています。肉体も神から頂いたものである以上大切にしないといけません。重要なことは、「物質的価値観」を手放すことです。必要以上のものを欲しがらず、質素な生活に満足できる心と利他愛の心を優先できる生き方が《霊主肉従》です。その霊主肉従の努力こそが霊的成長につながります。霊的成長こそが地上生活の目的なのです。

「私たちは地上人生を、地上的視点ではなく霊的視点から眺めます。賢明な人間とは、すべての体験を魂の養分として摂取しようとする人のことです。辛いことや煩悩の誘惑に流されず、心の奥深くにある霊的な力を活用して困難に立ち向かおうとする人のことです。そうした精神で臨んでこそ、人間性が磨かれ強化されるのです。」

(シルバーバーチ教え[上] P161/1~4)

「地上の束の間のよろこびを永遠なる霊的なものと混同してはなりません。地上のよろこびは安ピカであり気まぐれです。あなた方は地上の感覚で物事を考え、私どもは霊の目で見ます。摂理を曲げてまで人間のよろこびそうなことを説くのは私にはできません。」

(シルバーバーチの霊訓[4] P21/4~6)

⑷ 地上人にとって、肉体を維持するための最低限の条件を欠くことは不幸

 物質世界に肉体をまとって生きることは、神の計画です。肉体は神が地上に生きるための道具として人間に与えたものです。

地上のすべての人間は、苦しみ困難、本能(物欲など)と良心の闘いなどの地上ならではの体験を通して霊的成長するために、今こうして地上人生を歩んでいます。

さまざまな体験をするには健康でなければなりません。当然肉体管理と維持が必要です。地上人生の目的である霊的成長を成すための道具(肉体)の管理は人間の義務です。また、神は人間に肉体的な喜びも同時に与えてくれました。喜びとは、スポーツによる爽快感や美味しいと感じる味覚、スキンシップや体をほぐすマッサージなどです。

しかし、霊的な喜びを忘れて肉体的な喜びを求め過ぎることは摂理に反します。過度に求めることは霊的成長につながりません。

一方、地上には戦争・内戦や干ばつなどで餓死する人が存在します。霊的成長や幸福を求める以前の問題です。今日一日生き延びることができるかどうかという人たちが大勢います。

 戦争や内戦は、権力者が領土や自分の利益を増やしたいと思う利己心から始まります。

干ばつが起きても、持てる者が持たざる者に渡せば餓死することはありません。それは国家間・民族間の問題ではなく人間すべての責任です。これは、利他愛の欠如から起こっています。

自分や自分の身近な人や好意を持つ人だけではなく、地上に生きるすべての人のことを想像してみてください。偏った富の分配や支配者による弱者から搾取などによって多くの人が肉体維持など到底できない環境が世界中に存在します。世界の現実を、底辺で生きるしかない人たちへ目を向けてみてください。

他者への思いやりこそが霊的成長です。

「霊界からの働きかけには二つの目的があります。(中略)人間が霊的遺産と霊的宿命とをもった霊的実在であり、神に似せて創造されているからにはその霊も精神と身体の成功に必要なものを要求する権利、絶対に奪うべからざる権利があることを理解させることです。」

(シルバーバーチの霊訓[2] P204/後2~P205/3)

⑸ 全人類の幸福は、一人ひとりの[霊的覚醒]と[魂の革命]が達成されて実現する

スピリチュアリズムの目的は地上人類全体を幸福にすることです。

宗教は信者だけに幸福を、政治は自国民に物資的満足を与えることで幸福にしようとします。科学や文明も便利で快適な生活という物質的な幸福です。

これでは、いつまでたっても全人類の幸福は叶いません。地上人生だけの物質的思想や地上的視点では個人の幸福もありません。霊的思想・霊的視点での幸福を理解する(霊的覚醒)ことで『真の幸福』を知ることができます(魂の革命)。 

物質第一主義を霊中心主義に、利己主義を利他主義に、一人ひとりが変わっていくことで地上に利他愛が広まり、やがて戦争・飢餓・差別・貧困などがなくなっていきます。

今までいなかった『魂の革命』の起きた人がそれぞれの分野で活躍するようになれば、科学や文明の発達、政治経済が全人類を幸福にできるようになります。

「神の道具として目覚めていく霊媒が増えれば増えるほどスピリチュアリズムは勢力を増してまいります。一人でも多くの人をわれわれの霊力の行使範囲に手引きしてあげることが目的です。これは二つの側面をもった仕事です。一つは各自が潜在的に所有する霊的原動力を発動させることであり、もう一つは、その人たちを背後霊影響力下に置いてあげることです」

(スピリチュアリズムの霊訓[7] P109/後ろ4~P110/1)

⑹ 地球人類全体の真の幸福は、霊界主導のスピリチュアリズム運動によって実現する

現在の地上では、人類の幸福と言うだけで“理想論・偽善的・非現実的”と批判されることがありますが、しかしそれは実現可能なことなのです。真の幸福をもたらす『魂の革命』は霊的真理の普及によってそれを実践する人が一人増えまた一人増えることでゆっくりと進展していきます。利他愛が当たり前の世界になった時が、全人類が幸福になった時です。まだまだ時間はかかりますが、霊界からの働きかけはなくなりません。シルバーバーチの教えに感銘を受け、理解でき、得心がいったということは、霊界からの働きかけと守護霊の導きがあり、自身の霊性が進歩したということです。

<シルバーバーチの「幸福観」のまとめ>

 ①霊的成長こそが“真の幸福”であり、霊的成長と幸福は一体

 ②大半の人間は、苦難や困難を不幸と考えるが、地上人生で経験する苦難は霊的成長を急速に促してくれるありが

  たいもの 苦しみや困難の多い人生だからといって決して不幸ではない

 ③地上人が“真の幸福”を手にするための実践とは、「霊主肉従(霊中心)の生き方」

 ④地上人にとっての飢餓は、肉体を弱らせるだけでなく霊的成長を妨げることになる極めて不幸な出来事である 

  地上から飢餓を無くすことは、スピリチュアリズムの目的の一つである

 ⑤全人類の幸福は、一人ひとりの“霊的覚醒”と“魂の革命”が地球規模で引き起こされたときに実現する

 ⑥地球人類全体の“真の幸福”は、霊界主導のスピリチュアリズム運動によって達成される

  (スピリチュアリズム普及会 第1公式サイト)

(感想)

「社会人になり年を重ねる毎に貯蓄も増えて行き、少しの贅沢も出来るようになってそのことに幸せを感じ、あとは老後の為に出来るだけ貯めておこうと働きました。霊的真理を知らない人なら普通の考えですよね。確かに、お金があれば無いよりは物的には困りませんし精神的にもゆとりができて思考の幅が増えます。しかし考える事と言えば、

”もっとお金があればもっと幸せになれる”  と、金銭欲は止まることなく膨らみます。  ある体験により、お金や物では解決できない事象も有ることに気付き、右往左往する中でシルバーバーチの霊訓に辿り着けたのは幸いです。先進国に生まれて特に不自由の無い暮らしが出来ている裏では、途上国の人々の労働力によって私たちの暮らしが支えられていることを忘れてはならないですし、同じ神の分霊を持った兄弟姉妹として愛すべき存在だと思います。 地上人生の苦難はそれを克服することで霊的成長します。霊的成長し神の愛に触れ、感じ、理解するためにも霊主肉従を実践し、地上人生中に幸福感を体感できればと思います。 地上での霊的成長をなすための肉体の管理では、管理が過ぎて甘くなり、それが利己的な方向に向かないように注意していこうと思いました。」(50代 男性)

「今回、スピリチュアリズムの幸福感を勉強できてうれしかったです。地上で不幸だった者があの世で幸福になると聞いた事がありますが、ここから来ていたんだなと認識できて良かったです。物質的価値観・物質的幸福観から解き放たれることが真の幸福の部分は、霊主肉従の努力のことなので、とても大切な事だと思いました。

そして、シルバーバーチの幸福観の部分では、霊的成長することやカルマの清算、利他愛の実践が書かれていて、大切な幸福観だから何度も説いていたと実感しました。

 また、肉体を維持するための最低限の条件を欠く事も不幸が印象に残りました。世界ではこれを欠いている人たちがたくさんいます。そうではない今の境遇に感謝し、霊主肉従を意識していく事は本当に大切だと思いました。また小さな喜びに心から感謝し、小さな不幸に振り回されない事も意識しようと思いました。

オンライン読書会を通じて心静かにする時間がとれています。今後も楽しみにしています。」(30代 男性)

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