「霊的世界観」〈2〉
「霊的世界観」(2.霊界の実態)
◆スピリチュアリズムの霊的世界観
スピリチュアリズムは、霊(スピリット)の世界の真実を明らかにする思想です。
しかし、現在スピリチュアリズムの霊界に関する知識・情報量は膨大にあり、玉石混交状態です。何が真実かを見極めることが重要で必要です。
ではどうすれば、スピリチュアリズムによる霊界の知識と情報を正しく知ることができるでしょうか。
「霊界の本質」・・・・・・・・ (そもそも霊界とは?)
「霊界の実態」・・・・・・・・ (霊界の様子とそこでの生活)
「地上人と霊界の関係」・・・・ (人間と霊界の関わりとは?)
※この3つの観点から霊的世界に関する知識・真理を整理することで、霊界に関する知識全体を正しく理解できるようになります。
〈霊界の本質〉------- 人間にとって、霊界が存在することの本質的意味とは
(1) 人間にとって本来(メイン)の生活場所・・・・・永遠の住処(すみか)
・地上世界は、一時的な(短期間の)仮の住処
・地上世界は、霊界での生活のための準備場所、準備期間
・睡眠中に霊界へ行って、死後の生活のリハーサルをしている
(睡眠中の幽体離脱体験)
・死は悲劇ではなく、新しい世界(霊界)への誕生の時
(2)人間は、霊界と地上界の両方の世界にわたって存在している
・霊的要素(霊の心、霊体)は霊界に属している(今この時も霊界にいる)
・物質的要素(肉体、肉の心)は地上世界に属している
(3)地上人は死後、全員が霊界に入って新しい生活を始めるようになる
・数十年後には、皆霊界人となる
・地上時代の知人全員と霊界で再会できる
・地上時代の視野や考え方は一変する
(地上時代の無知を後悔する者、地上時代を振り返って感謝する者)
〈霊界の実態〉------- 霊的世界(霊界)とはどのような世界なのか、
霊界と地上世界の違いは…?
死後の世界に関心を持つ人は多くいます。本来、宗教が扱うものでしたが正しい知識がなかったため、真実の霊界を説くことができず、人間の想像する空想の世界でしかありませんでした。
宗教の教える霊界は現在の地上人にとって理性を満足させるものではなく、多くの人が失望し死や死後の世界をまともに考えることをやめてしまいました。
では、スピリチュアリズムが説く霊界の様子とそこでので生活を私たちのいる地上と比較しながらみていきます。
(1)霊界は明るい世界は、光輝く素晴らしい世界です。
一方地上界は暗い世界です。霊界から地上を見れば暗黒の世界に見えます。
これは一番大きな違いであり、最も簡単な分け方です。
地上にいる私たちにその暗さは自覚できませんが、シルバーバーチは地上をこう
言っています。
『シルバーバーチの教え(下)』P.8/10~11
「私の住む光の世界とは対照的に、あなた方の世界は暗くて、冷たくて、じとじと
した世界です」
『シルバーバーチの教え(上)』P184/7~LB2
「あなた方はまだ、霊の世界の本当の姿を理解することはできません。肉体の牢獄
から解放され望む所へは自由に行け、心で考えたことが形を取って眼前に現れ、好
きなことにいくらでも専念でき、お金の心配がない……こうした霊界の生活と比べ
ることができるものが地上には存在しません。あなた方はまだ霊世界の喜びを味
わったことがないのです。
地上の人間は、美しさの本当の姿を理解することはできません。霊の世界の光、
色彩、景色、樹木、小鳥、小川、渓流、山、花、こうしたものがどれほど美しい
か、あなた方はご存じありません」
『シルバーバーチの教え(上)』P187/6~12
「地上は今まさに五月、辺りは美に包まれています。皆さんは大霊の顕現を至ると
ころで目にしています。生命の息吹が辺り一面に広がっています。そして皆さんは
花の美しさや芳香に触れて、神の御業は何と偉大な事かと感嘆しています。
しかし、その美しさも霊の世界の美しさに比べるならば色褪せて見えます。霊の
世界には、地上の誰一人見たことのない花があり、色彩があります。地上にはない
風景や森があり、小鳥もいれば植物もあります。小川もあれば山もありますが、ど
れ一つ取っても地上のそれとは比較にならないほど美しいのです」
※ただし、霊界にも例外的に暗いスポットがあります。それは幽界の下層にあります。
そこには未熟な地縛霊が集まっています。未熟な地縛霊とは、死はすべての消滅と信
じている唯物論者や間違った宗教の盲信者や肉体を失ったにもかかわらず地上的な欲
望から抜け出せない霊たちです。
宗教が説く地獄は存在しませんが、この暗いスポットは地獄のような世界と言える
場所です。
『霊的新時代の到来』P.238/6~P.239/2
「地獄はあります。ただ、地獄絵などに描かれているものとはかぎらないというまで
のことです。未熟な霊が集まっている暗い世界は、もちろん存在します。そこに住
んでいる霊にとっては、そこが地獄です。実在の世界です。考えてもごらんなさ
い。地上世界を暗黒と悲劇の淵に陥れた者たち、無益な流血の巷(ちまた)として
しまった張本人たち――こういう人たちがこちらへ来て置かれる境遇がどういうも
のか、大体の想像はつきませんか。そうした行為の結果として直面させられる世界
が天国であろうはずはありません。まさに地獄です。
が、バイブルに説かれているような、業火(ごうか)で焼かれる地獄とは違いま
す。行ったことの邪悪性、非道徳性、利己性を魂が思い知らされるような境遇で
す。それが地獄です。そこで味わう苦しみは、中世の地獄絵に描かれたものより、
はるかに耐え難いものです」
未熟な霊が集まる暗いスポットでは、人間が想像した地獄とは違う苦しみ、それ以上の苦しみがあると言います。それはどんな様子なのでしょうか。
実際にそこで体験した霊が(地上の人間の教訓とするために)語っています。
『霊との対話(天国と地獄Ⅱ)』P.100/4~P.101/LB2
(容赦のない光に照らし出される生前の罪)
「そして、だんだんと自分がどうなっているのかが分かってきた。自分が過去世で犯し
てきた罪がすべて啓示のように意識に上がってきた。容赦のない光が射してきて、俺の
魂の隅々まで照らしだした。一番恥ずかしいことまで明らかにされて、俺の魂が丸裸に
されたような感じだった。俺は恥ずかしくて恥ずかしくてどうしようもなくなった。
(中略)霊界では、すべての霊が隠し事や取繕うことは一切できない。
影のような亡霊たちがいて、ある者は絶望の淵に沈み、ある者は猛り狂っていたが、俺
の周りに忍び寄ってきたり、地上を徘徊したりしていた。人間たちは、いい気なもの
で、そんなこととはつゆ知らず、のんびりと動き回っている。(中略)地上の人間も、
物理的な拷問を前にして体をおののかせることがあるかもしれない。しかし、地上で
は、どのような苦痛であっても所詮は一時的なものであり、そのうち希望によって和ら
げられ、気晴らしによって緩和され、忘却によって消されるのである。
したがって、人間には霊界にいる魂たちが経験する、永遠に続くかと思われる、いっさ
いの希望を奪われた、悔い改めることさえできない苦しみなど、とうてい理解すること
はできないだろう。
おれは、いつ終わるるとも知れない永遠の間、時々垣間見る輝かしい高級霊たちをう
らやみつつ、かつ俺を嘲笑しつづける悪霊どもを嫌悪しつつ、また数々の愚行を犯す人
間どもを軽蔑しつつ、深い意気消沈と気ちがいじみた反抗の間を行ったり来たりしなが
ら過ごしていたのである」
暗いスポットという例外は存在しますが、ほとんどの霊にとってやはり霊界は光輝く素晴らしい世界です。
次に、その明るい世界の様子をみていきます。
地上はさまざまな霊的成長度の人間が同じ空間で生活しています。霊性の高い人もいれば死後暗いスポットに行くような霊的に未熟な人間も、同じ地上で生活しています。
しかし、霊界では無数の生活の場があります。無数の界層があるのです。
(2)界層世界と霊的グループ
・霊界は無数の界層からなる世界(一つの世界に無数の界層が存在)
スピリチュアリストの中にも、神智学の影響で霊界は地上を含めた7つの界層だと信じる人もいます。
また、仏教にも六道輪廻という考えがあります。
が、実際は霊界には無数の界層が重なり合っています。界層と界層の間に仕切りや境界線はありません。グラデーションになっています。
『シルバーバーチの教え(上)』P199/1
「霊の世界は一つです」
『地上人類への最高の福音』P.33/3~4
「宇宙はたった一つです。が、その中に無数の世界が存在するのです。生命はたった
一つです。が、それも無数の段階があるのです」
人間はいつか必ず死を体験し霊界へ帰ります。
無数に存在する界層のどこに自分が行くのでしょうか。
自分が行く界層はどのように決まるのでしょうか。
・自分の霊的成長度にあった界層に行く → 霊的成長に応じた住み分け
地上は様々な霊的成長度の人間が同じ空間で生活していますが、霊界では<霊的新和性の法則>によって自動的に霊的成長度の者が引き付けあってグループを作ります。これが、界層であり霊的グループです。
摂理の働きにより、自動的に霊的成長度同じ霊が集まる界層に行くことになります。
『シルバーバーチの教え(上)』P192/6~9
「霊界の世界は、境界線によってどこかで区切られているわけではありません。進化の
レベルの低い界層から高い次元の界層へとつながっていて、その間に境界はなく、すべ
ての界層が一つに融合しています。霊格が向上するにつれて、高い界層へと上昇してい
きます」
『シルバーバーチの教え(上)』P198/6~7
「各自は自分が到達した界層よりも高い界層へ行くこともできません。それが霊にとっ
ての限界です。霊的世界における限界なのです」
『シルバーバーチの教え(上)』P199/5~6
「地理的なものではありません。精神的段階によるものです。最も、ある程度は物的な
ものによって影響を受けています」
『地上人類への最高の福音』P.23/4~7
「霊界には幾層にもつらなる生命の世界が存在します。そこに生活する者の霊的成長度
によって格付けされている世界です。段階的な上下の差があり――互いに融合し合って
おりますが――それぞれの界層には、そこに住まうだけの霊的成長を達成した者がいっ
しょに生活しています」
・霊的成長度が等しい者同士が霊的に引き合って、霊的グループ(霊的家族)が形成される
ここで界層の特徴を整理します。
1)界層(霊的グループ)の中の霊の数は、それぞれ違っています。
定員数はありません。あくまでも、霊的成長度の同じ霊の集まりです。
2)地上での年齢やどの時代に地上のどの国に生きていたかは関係ありません。
自分の所属する界層にピラミッド時代のエジプト人として生きていた霊や秦の始
皇帝時代の中国人だった霊と同じ界層もあるということです。
3)お互いが他の界層・霊的グループが波動・次元の違いから認識できません。
界層と界層の間は仕切りや境界線はありませんが、お互いが認識できないため、
自分の属する霊的グループが世界のすべてとなります。
霊界の生活で接するのは同じ界層の霊だけとなります。地上のような様々な霊性
レベルの人、自分と違う霊性レベルの霊と接することはありません。
では次に、その界層(霊的グループ)内の様子をみていきます。
界層では利他愛に基づく共同生活が営まれています。界層の中では、お互いがお互いに
奉仕する生活をしていて、利他愛によって関係が結ばれています。
これは、地上世界が目標とする世界です。
『地上人類への最高の福音』P.30/LB3~LB1
「生活上で交わる相手が同格の霊性を身につけた者に限られるということです。絶対に
誤ることのない霊的親和力の法則によって自然にそう収まるのです」
霊界での住み分けの原則は霊的成長度だけなので、地上にあるような人間を区別するものはありません。
・地上のような人種・民族・国家の違いはない
また、肉体がないため男女の違いもありません。
肌の色や男女の区別がないということです。
民族差別、人種差別、ジェンダー問題も発生しません。
完全な公平・平等が行きわたっている世界です。
『シルバーバーチの教え(上)』P191/3~5
「物質の世界ではこの二元の原理が完璧に貫かれていますが、霊の世界では界層が上
がるのつれて男女の差は薄れていきます」
このまま界層で永遠に生活するわけではありません。私たちの霊的成長は永遠に続きます。
地上への再生を通しさらに成長を目指します。
再生の理由は2つあります。 ①個人のカルマ清算 ②霊的グループ全体の成長です。
一個の霊が再生し地上体験を通し霊的成長を成し、個人の霊的成長をもって霊的グループへ帰ります。するとこの時、霊的グループ全体の成長も促されることになります。
個人の成長が 霊的グループに寄与するのです。
霊的グループからまた別の霊が再生し、それを繰り返しどんどん成長していきます。
このように成長をし続けますが、そのうちもう地上で学ぶものがない霊性レベルに到達します。地上での体験が必要ないということは再生の必要がないということです。
この段階までくると、地上と関わりのない世界になります。
私たちはまだまだ地上で学ぶべきものが残っています。私たちのように再生がまだ必要な界層が連なる霊界を地上圏霊界、地上ともう縁のない界層が連なる霊界を宇宙圏霊界と言うことができます。
・地上圏(物質圏)霊界(※再生を通しての霊的成長を必要とする段階・成長レベル)を卒業すると、
再生不要の宇宙圏霊界に進んでいく
『シルバーバーチの霊訓』(10)P.123/LB1~P.124/4
「(なぜ再生してこない人がいるのでしょうか。そういう人はそれから先どうなるの
でしょうか)
『支払うべきカルマの負債もなく、やらねばならない仕事もないからです。地上での
用事がすっかり終わったということです。もう地上へ戻ってきてすることがないの
です。地上との一切の縁を切って、霊界での向上進化に専念することが出来ます』」
・地上での生活が一切不要となった宇宙圏霊界の霊は、天使と同格になります。
天使は生まれながらの高級霊です。
霊界で生まれ霊界での生活を通し霊的成長する高級霊です。
その天使と同格になれるのです。
<まとめ>
霊界とは、たった一つの世界に無数の界層世界があり霊的成長度の違いによる住み分け が自動的になされ、その界層(霊的グループ)の中で利他愛に基づく共同生活が営まれ
ている世界です。
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